
この記事を書いた人:佐藤 くるみ
ズボラ家事研究家 / メンタルヘルス・アドバイザー
元・汚部屋住人。激務で部屋が荒れ果てた経験から、脳科学に基づいた「頑張らない家事」を提唱。著書に『脳を騙せば部屋は片付く』など。
昨夜も残業でクタクタになり、ようやくたどり着いた自宅。ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、脱ぎ散らかした服と、シンクに積み上がった洗い物……。
「はぁ……」と深いため息をつきながら、どっと疲れが増すのを感じる。そんな経験はありませんか?
「私って、なんてズボラなんだろう」「もっとちゃんとした生活を送りたいのに、意志が弱くて続かない」
そうやって自分を責めるのは、もう終わりにしましょう。あなたが悪いのではありません。単に「脳の仕組み」に逆らって、無理に頑張ろうとしていただけなのです。
この記事では、意志力を一切使わず、洗顔やトイレなどの「生理現象」についでに組み込むだけの「思考停止15分ルーティン」を紹介します。
朝のたった15分を投資するだけで、帰宅後の数時間が「完全なリラックスタイム」に変わります。もう、荒れた部屋に帰って落ち込む必要はありません。
なぜ「夜」ではなく「朝」なのか?脳科学が証明する意外なメリット
「朝はギリギリまで寝ていたい」「家事は夜にまとめてやればいいや」
そう思っていませんか? かつての私もそうでした。しかし、脳科学の観点から見ると、朝家事は単なるタスク処理ではなく、最強のメンタルケアであることがわかっています。
朝のリズム運動が「幸せホルモン」を作る
私たちの脳内には、「セロトニン」という神経伝達物質が存在します。これは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させ、前向きな気分にさせてくれる重要な物質です。
このセロトニンは、朝の日光を浴びながらリズム運動をすることで活性化されるという性質を持っています。つまり、朝日を浴びながら体を動かす「朝家事」は、セロトニンを分泌させるための絶好のチャンスなのです。
夜の快眠は「朝」に作られる
さらに興味深いことに、朝分泌されたセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンに変化します。
朝家事とセロトニン、そしてメラトニンは密接な因果関係にあります。 朝しっかりセロトニンを出しておくことが、夜の質の高い睡眠(メラトニンによる入眠)を予約することに繋がるのです。
逆に言えば、朝ギリギリまで寝ていてセロトニンが不足すると、夜になってもメラトニンが作られず、寝付きが悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「家事」と思わず「メンタルケア」だと思って、まずはカーテンを開けることから始めてみてください。
なぜなら、多くの人が「部屋をきれいにするため」に家事をしようとしますが、それだと面倒くささが勝ちます。「今日一日を機嫌よく過ごすため」「夜ぐっすり眠るため」という自分のメリットを目的にすると、驚くほど体が動きやすくなりますよ。
意志力ゼロでOK!「生理現象」に紐づける15分黄金ルート
「理屈はわかったけど、やっぱり朝は眠くて動けない……」
わかります。だからこそ、意志力は使いません。
使うのは、あなたが毎朝必ず行う「生理現象」です。顔を洗う、トイレに行く。これらは無意識にやりますよね? この生理現象をトリガー(合図)にして、次の行動を自動的に引き出すのが、この「15分黄金ルート」です。
これは心理学で「If-Thenプランニング(もしAしたらBする)」と呼ばれる強力な習慣化テクニックです。
思考停止で動ける!朝の15分タイムライン
それでは、具体的な手順を見ていきましょう。ポイントは、行ったり来たりしない「一筆書きの動線」です。

ポイントは「ついで」と「予防」
このルーティンの肝は、「15分ルーティン」と「生理現象」がセットになっていることです。
わざわざ「さあ、掃除をするぞ!」と意気込む必要はありません。トイレに入ったら、出るついでにブラシを持つ。顔を洗ったら、そのタオルで鏡を拭く。
汚れは溜めるから掃除が大変になります。毎日「ついで」にリセットしていれば、洗剤すら不要な場合がほとんど。これが、ついで掃除が予防掃除を包含するという最強のメリットです。
「やらない家事」を決めよう。ズボラさんが捨てるべき3つの思い込み
真面目な人ほど、「あれもこれもやらなきゃ」と完璧を目指して挫折します。でも、ここは断言させてください。
平日の朝に、丁寧な暮らしは不要です。
私たちが目指すのは、あくまで「帰宅後の自分が不快にならない状態(マイナスをゼロに戻す)」こと。プラスを目指す必要はありません。以下の3つは、平日は潔く捨てましょう。
1. 丁寧な朝食作り
洗い物が増えるだけです。平日はバナナやヨーグルト、あるいはコンビニでもOK。栄養バランスは1週間単位で考えれば大丈夫です。
2. 掃除機がけ
重い掃除機を出すのはハードルが高すぎます。フローリングワイパーなら音も出ず、軽くてハードルが低い。平日の床掃除はこれで十分です。
3. 窓拭きや念入りな水回り掃除
これらは週末の「イベント」にしましょう。平日は「サッと拭く」だけで合格点です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: SNSのキラキラした投稿を見て落ち込む必要はありません。あれは「ハレの日」の家事です。
なぜなら、生活には「ハレ(非日常)」と「ケ(日常)」があります。平日の忙しい朝に「ハレ」の家事を持ち込むと、生活が破綻します。平日は「ケ」に徹して、淡々とリセットすること。それが、長く続く秘訣です。
どうしても起きられない朝は?よくある質問Q&A
ここまで読んでも、「やっぱりできるか不安……」という方もいるかもしれません。大丈夫、失敗してもリカバリーする方法はあります。
Q. 寝坊して時間がありません!
A. 玄関の靴だけ揃えて出れば100点です。
0点にしないことが大事です。「今日は靴を揃えた、えらい!」と自分を褒めてあげてください。その小さな成功体験が、明日のやる気に繋がります。
Q. 週末にまとめてやるのはダメですか?
A. 汚れが溜まると大変なので、週末こそプロに頼りましょう。
平日にリセットできていれば、週末の大掃除は不要になります。もし溜まってしまったら、週末は自分の休息のために使い、家事代行サービスなどを利用するのも賢い選択です。
家事代行は、朝家事の習慣化を補完する強力なパートナーです。全てを自分で抱え込まず、「困ったらプロに頼ればいい」という逃げ道を作っておくことで、平日のプレッシャーがぐっと下がります。
平日の「リセット家事」 vs 休日の「プロに頼る家事」
| 項目 | 平日の「リセット家事」 | 休日の「プロに頼る家事」 |
|---|---|---|
| 目的 | マイナスをゼロに戻す(現状維持) | ゼロをプラスにする(徹底洗浄) |
| 所要時間 | 朝15分 | 2〜3時間(お任せ) |
| やるべきこと | ついで拭き、整頓、ゴミ出し | 水回りのカビ取り、窓拭き、換気扇 |
| マインド | 思考停止・60点でOK | 自分はリフレッシュ・プロに一任 |
「ただいま」が楽しみになる生活へ
朝の15分は、家事のための時間ではありません。それは、「夜の自分を大切にするための時間」です。
想像してみてください。
仕事でクタクタになって帰ってきた時、玄関の靴が揃っていて、床に物がなく、シンクがピカピカだったら。
「私、意外とちゃんとしてるじゃん」
そう思えたら、その日の疲れも少し癒やされる気がしませんか?
完璧でなくて構いません。まずは明日の朝、顔を洗ったついでに、鏡をサッと拭いてみてください。その小さな「できた」が、あなたの自己肯定感を育て、心地よい暮らしへと導いてくれるはずです。
さあ、まずは洗濯機の予約タイマーをセットして、今夜はゆっくり休みましょう。
参考文献
- 生まれ変わったかのように「脳を最高に幸福な状態」にするための習慣 – ダイヤモンド・オンライン
- 朝起きと健康の関係 – パークサイド日比谷クリニック
- CaSy(カジー)公式サイト – 家事代行サービス


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