「片付けても片付けても、気づけば部屋が散らかっている」
「ストレスが溜まると、つい100均やネット通販でポチってしまう」
そんな自分を、「私ってなんて意志が弱いんだろう」と責めていませんか?
はっきり言います。物が増えてしまうのは、あなたの意志が弱いからではありません。
現代社会は、私たちの脳のクセを巧みに突いて「買わせる」仕掛けで溢れています。そんなプロの戦略に対して、丸腰の「我慢」で対抗しようとしても、負けてしまうのは当然なのです。
この記事では、元・汚部屋出身であり、行動経済学を学んだ整理収納アドバイザーの私が、意志力に頼らず、脳の仕組みを利用して「勝手に物が増えない暮らし」を作る方法を伝授します。
頑張る必要はありません。必要なのは、ちょっとした「仕組み」と「ルール」の変更だけです。
この記事の著者

行動経済学×整理収納アドバイザー / 元・汚部屋出身主婦
かつては「収納グッズを買えば片付く」と信じ込み、プラスチックケースの山に埋もれて暮らしていた元・汚部屋住人。自身の失敗経験から、意志力で我慢する片付けの限界を悟る。行動経済学(ナッジ理論)を取り入れた「脳を騙して物欲を消すメソッド」を開発し、3,000人以上の「片付けられない主婦」を救済。「頑張らない仕組み化」のプロとして活動中。
なぜ「買わない」と決めても買ってしまうのか?意志力に頼らない戦略
「今度こそ無駄遣いはしない!」と固く誓ったはずなのに、数日後には新しい服や雑貨を買ってしまっている。私自身、そんな失敗を何百回と繰り返してきました。
かつての私は、部屋が散らかるたびにホームセンターへ走り、新しい収納棚やカラーボックスを買い込んでいました。「これを買えば片付くはず」と信じていたのです。しかし、結果はどうだったでしょうか。収納グッズという「物を入れる場所」が増えたことで、さらに安心して物を増やし、部屋はますます狭くなっていきました。
今なら分かります。私たちは、企業のマーケティング戦略という巨大な力の前では無力です。「期間限定」「今だけお得」「残りわずか」。これらの言葉は、私たちの脳の「損をしたくない」という本能(損失回避性)を強烈に刺激します。
つまり、「意志力」と「企業のマーケティング(行動経済学)」は対立関係にありますが、個人の意志力だけでプロの戦略に勝つことはほぼ不可能なのです。
だからこそ、戦い方を変えましょう。意志力で我慢するのではなく、「買ってしまう行動」そのものを物理的に難しくする「仕組み(ナッジ)」を取り入れるのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「買わないぞ」と念じるのは今すぐやめて、「買うのが面倒くさい」環境を作りましょう。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、人間の脳は「面倒なこと」を極端に嫌う性質があるからです。意志力は夕方には枯渇しますが、「面倒くささ」は24時間あなたを守ってくれる最強の防波堤になります。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
行動経済学でハックする!脳を騙して物欲を消す3つの「ナッジ」
では、具体的にどうすればいいのでしょうか? ここでは、行動経済学の知見を応用した、脳を騙して物欲を消滅させる3つの「ナッジ(行動を促す仕掛け)」を紹介します。
これらはすべて、あなたの意志力を消費せずに、衝動買いという行動をブロックするための科学的な仕組みです。
意志力不要!衝動買いを防ぐ3つの防波堤
ナッジ1: 物理的ハードル(面倒くささ)
「ワンタップで買える」をなくす。買うまでの手数を増やして脳を冷やす。
ナッジ2: 冷却期間(72時間ルール)
ドーパミン(興奮物質)は時間とともに減少する。3日待てば「なんで欲しかったんだっけ?」と冷静になれる。
ナッジ3: 換算思考(労働時間)
「これは私の命の3時間分と交換する価値があるか?」と問う。
1. 物理的ハードル:買うまでの「手数」を増やす
Amazonや楽天のアプリをスマホのホーム画面から削除し、クレジットカード情報の自動保存を解除してください。たったこれだけで、買い物をするたびに「ログインする」「カード番号を入力する」という手間が発生します。この「面倒くささ」こそが、衝動買いというエンティティ(行動)に対する最強のブレーキになります。
2. 冷却期間:72時間(3日間)カートで寝かせる
「欲しい!」と思った瞬間、脳内ではドーパミンという興奮物質が出ています。この興奮状態では正常な判断ができません。しかし、衝動買いと冷却期間は抑制関係にあり、時間を置くことでドーパミンは自然と収まります。 欲しいものはカートに入れても構いませんが、決済ボタンを押すのは必ず72時間後にしてください。多くの場合、3日後には「あれ、なんでこれ欲しかったんだっけ?」と冷静になっています。
3. 換算思考:自分の「命の時間」と天秤にかける
3,000円の服を買う時、「安い!」と飛びつく前に、「私の時給が1,000円だとしたら、これは3時間働いて得る対価に見合うか?」と考えてみてください。お金を「労働時間(命の時間)」に変換することで、無駄遣いへの心理的ハードルがグッと上がります。
夫と子供にイライラしない!リビングを死守する「聖域ゾーニング」
「私は頑張っているのに、夫や子供がすぐに物を増やして散らかす!」
これは、子育て世帯の最大の悩みですよね。
しかし、ここで家族を変えようとしてはいけません。他人を変えることは不可能ですし、関係が悪化するだけです。解決策は、家のスペースを「聖域(共有スペース)」と「無法地帯(個人スペース)」に分ける「ゾーニング」という考え方です。
ストレス激減!「聖域」と「無法地帯」のゾーニングルール
| エリア区分 | 対象場所 | ルール | ママの心構え |
|---|---|---|---|
| 聖域(共有スペース) | リビング、ダイニング、玄関、洗面所 | 「個人の物は置かない」 使い終わったら必ず個人の部屋へ戻す。ここだけはママが鬼になって管理してOK。 |
ここさえ綺麗なら家は整って見える。家族にも「ここはみんなの場所」と徹底する。 |
| 無法地帯(個人スペース) | 子供部屋、夫の書斎、夫のクローゼット | 「一切干渉しない」 どんなに散らかっていても、漫画が山積みでも、口出しも手出しもしない。 |
ドアを閉めて見なかったことにする。「彼の城」と割り切り、管理責任を本人に委ねる。 |
この共有スペース(リビング)と個人スペース(子供部屋等)のゾーニングを徹底することで、あなたの管理すべき範囲が激減します。「リビングのテーブルの上だけは何も置かない」という一点突破のルールを守るだけで、家全体の印象は劇的に変わります。
夫が何か買ってきたとしても、それが「無法地帯」にある限り、あなたには関係ありません。目をつぶるスキルも、物を増やさない暮らしには不可欠なのです。
まず捨てるべきは「収納グッズ」。リバウンドを防ぐ1in1outの極意
物を減らすために、まず何から捨てるべきか。答えは「収納グッズ」です。
多くの人が陥る罠ですが、収納グッズと物が増える原因は因果関係にあります。 空のカラーボックスがあれば、人は無意識にそこを埋めようとして物を買ってしまいます。「収納があるから物が増える」のです。
まずは、余っているプラスチックケースや空き箱を捨ててください。「入れ物」をなくすことで、物理的に物を置けない環境を作ります。
そして、リバウンドを防ぐための鉄則が「1in1out(ワンイン・ワンアウト)」です。1つ買ったら1つ手放す。これは有名ですが、実践するのは難しいですよね。
そこで提案したいのが、「1out 1in(先出し)」ルールです。
- 新しい靴が欲しいなら、まず下駄箱から1足捨てて、空いたスペースを作ってから買いに行く。
- 新しい服が欲しいなら、クローゼットから1着リサイクルショップに出してから店に行く。
「捨てる痛み」を先に味わうことで、買う時の慎重さが段違いに上がります。 「これを捨てるくらいなら、新しいのは買わなくていいか」と思えたら、しめたものです。
よくある質問(FAQ)
Q. 100均に行くと、つい便利そうなグッズを買ってしまいます。対策は?
A. 「100均はテーマパーク」と割り切り、財布を持たずに行きましょう。
どうしても必要な消耗品がある場合は、その金額(例:330円)だけを握りしめて入店してください。カゴを持つのも禁止です。手で持てる量しか買えないように制限をかけましょう。
Q. いただき物や粗品はどうすればいいですか?
A. 「家に入れた瞬間」に判断してください。
使わないタオルや好みでない食器は、箱から出さずに即バザーに出すか、寄付しましょう。「とりあえずしまっておく」が一番危険です。玄関で「使う・使わない」の選別を終わらせるのがコツです。
Q. 日用品のストックは何個まで持っていいですか?
A. 「1個」で十分です。
今使っているものがなくなってから開封し、そのタイミングで次を買い足せば間に合います。お店があなたの家の倉庫代わりです。過剰なストックは場所代の無駄遣いだと心得ましょう。
まとめ:まずはスマホのショッピングアプリを1つ、ホーム画面から消してみよう
物を増やさないために、強い意志力は必要ありません。
必要なのは、「脳を騙すちょっとした仕組み」と、「家族と戦わないためのルール」だけです。
今日紹介した方法をすべてやる必要はありません。まずは、スマホのショッピングアプリを1つ、ホーム画面から削除してみてください。あるいは、リビングのテーブルの上だけを「聖域」と決めて、何もない状態にしてみてください。
その小さな「仕組み」の変化が、あなたの暮らしを劇的に変える第一歩になります。
物が減れば、家事の手間が減り、お金が貯まり、何よりあなたの心に余裕が生まれます。
ズボラな私でも変われました。あなたにも、きっとできます。


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